月別アーカイブ: 2018年6月

【速報】「接続料」問題は事の本質なのか?


公正取引委員会が、従来3大キャリアに対して是正を求めるという報道が相次ぎました。そのうちauとソフトバンクが行っているという通称「4年縛り」については、適切な説明が行われていないと問題になる内容かと思われますが、「接続料の算定根拠が不透明」というものについては、本質的な問題なのだろうかと首をかしげるところでした。

接続料とは、「格安SIM」業者その他が他社(従来3大キャリア)のネットワークに接続する際に支払う金額であり、「格安SIM」業者にとってこの高い安いが経営に直結するのは確かです。従来、この接続料はドコモがいちばん安くソフトバンクがいちばん高いといわれ、ソフトバンク回線を利用した「格安SIM」サービスを始めるうえで障壁となってきましたが、auの接続料の下落幅が鈍化したためもあって、こんにちではauとソフトバンクはだいたい同じ水準になったようです。

公正取引委員会としては「接続料が不当に高いために『格安SIM』業者が不利益を被っているおそれがある」ということですが、はたして接続料が下がったからといって、この業界全体やユーザーにとってためになるものなのだろうか?という疑問が生じます。

確かに、「格安SIM」業者が回線を借りている分の支払いは、高いより安いに越したことはありません。昨今、「格安SIM」業者は過当競争のなか薄利多売に陥っており、相当な大手でも儲かってはいないといわれます。その体質改善にはつながるかもしれません。しかし、一方では、さらに値下げ競争が激化して、消耗戦に拍車がかかる可能性もあるといえるでしょう。

現状でも、使い方にはよりますが、「格安SIM」は従来3大キャリアに比して、低サービスである替わり低料金を実現しています。確かに同等サービスを利用しようとすればワイモバイルが拮抗する競争相手として存在しますが、ワイモバイルにしても従来3大キャリアに比べればずっとユーザー数が少ないと考えられているため、事の本質は料金面ではないところにあるのではないでしょうか。

接続料が安くなって「格安SIM」業者がさらに安い料金プランを出してきたとしても、「選択肢が多すぎてどこを選んだらいいか分からない」「利用に際して障壁を感じる」といったような弱点を持つ「格安SIM」が急速に普及するとは考えにくいのが現状です。個人的には「今後の『格安SIM』業者は、ユーザー数を増やすよりも既存顧客のブランドロイヤルティを高めるのを優先した方がいい」と考えていますが、「格安SIM」をもっと普及させたいという趣旨であるなら、「低サービス・低料金」を加速させるのではなく、既存の3大キャリアとは決定的に違ったベネフィットを見いだす方向に行かなければならないのではないか?という気がします。

【速報】もう、目先の「安さ」で目を惹く商売は止めるべきでは?


楽天モバイルのスーパーホーダイ値下げのニュースには、甚だ失望しました。「2年間ずっと月額基本料1,480円~」というキャッチコピーで目を惹きながら、よく見ると契約期間は3年という条件になっているという、相も変わらぬユーザーに誤解を生じさせかねない書き方になっているからです。

これについては日本経済新聞のウェブ版が採り上げていますが、楽天会員が月2GBで3年契約の場合の最初の2年の基本料金が1,480円ということで、3年目は2,980円ということです。一般的なケータイの利用契約に比べて1年余計に拘束されるデメリットがあるのに拘わらず、目先の金額表記で目を惹こうとするやり方は、この業界のイメージを悪くするだけなのではないか?と危惧されます。

加えて、実質的な面でも、これまで新規契約時に適用のあった20,000円のキャッシュバックがなくなるため、3年契約でも安くなるのは4,000円に留まるとのことです。楽天の大尾嘉執行役員は、自社回線を導入する2019年秋までに契約件数を現在の倍にすると強気の姿勢を示しているようですが、その目玉政策がこれであるなら、あまりにお寒いという印象を禁じえません。

以前、楽天モバイルについては、「楽天会員を増やすための施策の一環で、楽天モバイル単体での収益にはあまり期待していないのかもしれないが、『格安SIM』事業単体で収益を得られにくい昨今、他事業との相乗効果を狙うのが今後のこの業界の目指すべき方向性の1つなのではないか」というような趣旨で書いたことがありますが、ちょっと買いかぶりすぎたのかな?という気もします^^;

こんにち、楽天モバイルに限らず、ワイモバイルもUQ mobileも、「月々1,480円」というのを前面に押し出した広告表示をしていますが、よく読むと「2台目以降の家族割適用時」とか「自宅ネット環境とのセット割」とかの条件付きで、別に単体での契約の基本料金が安くなっているわけではないのが判明します。こういった誤解を招く表現はもう止めるべきではないかと思います。

こんにちの「格安SIM」業界は、「安さ」を売りにした過当競争で、よほどの大手でも儲かっていないという消耗戦状態になっています。もういい加減、ターゲット顧客を絞って値段以外の訴求ポイントを見出す段階に入らないと、業界自体の将来性が危ぶまれるのではないかと、個人的には気がかりです。